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子どもの病気
2026.8.28
公開日
2026.8.28
更新日
2026.8.27

こんにちは!春日すぐファミリークリニック 院長の織田です。
🌀 抗生剤を飲めば、風邪が早く治る気がする
🌀 風邪がひどくなる前に、念のため抗生剤もほしい
診察室で、このようなお声をいただくことがあります。
仕事や学校のためにも風邪を早く治したい。そのお気持ち、よく分かります。でも実は、抗生剤は「念のため」で飲む薬ではありません。
この記事では、風邪に抗生剤が効かない理由と「飲んだら治った」のからくり、そして正しい使い方をやさしく解説します。
受診の目安のチェックリストもありますので、ご自身やお子さんの様子と見比べながら読んでみてくださいね。
抗菌薬(抗生剤とも呼ばれます)は、細菌による感染症を治療する薬です。
そして、医学的に『感冒』と呼ばれる普通の風邪は、ウイルスによって起こります。
細菌とウイルスは、どちらもひとくくりにされがちですが、まったくの別ものです。
細菌は、栄養があれば自分の力で増えていく小さな生き物です。一方のウイルスは細菌の50分の1ほどの大きさしかなく、自分だけでは増えられずヒトの細胞に入り込んで増えます。
細菌とウイルスでは、増え方や体のつくりが異なるため、細菌に作用する抗生剤は、ウイルスには効かないのです。

最初の受診では、ふつうの風邪薬をもらった。3日たっても熱が下がらないので、もう一度受診して抗生剤を出してもらった。すると翌日、ウソのように熱が下がった。——このような経験があると「やっぱり抗生剤はすごい」と感じますよね。
でも実は、風邪の症状は発症から3日目ごろが山場です。多くは7〜10日ほどかけて、だんだん軽くなっていきます。
再受診した4日目や5日目は、ちょうど身体を守る力(免疫)がウイルスに勝って熱が下がり始める時期です。
「自然に治るタイミング」と「抗生剤を飲んだタイミング」が、たまたま重なっていただけかもしれません。
「効かないかもしれないけれど、飲んでおけば安心」と思ってしまうかもしれませんが、必要のない抗生剤には、はっきりとしたデメリットがあります。

抗生剤を使うたびに、薬が効く菌が減る一方、抗生剤が効きにくい『耐性菌』が生き残りやすくなります。耐性菌が増えると、肺炎など本当に抗生剤が必要な病気にかかったとき、薬が効きにくくなることがあります。
処方された抗生剤を自己判断で途中でやめたり、残った分を次の風邪のときに飲んだりするのも同じです。自己判断で量を減らしたり、飲む間隔を変えたりせず、医師から指示された回数と日数を守りましょう。
抗生剤によって、腸内細菌のバランスが変わり、下痢などが起こることがあります。成人では、風邪の時に抗生剤を飲むと嘔吐や下痢などの副作用が約2.6倍に増えた、という報告もあります。
風邪のつらさに、お腹の不調まで重なってしまうと辛いものです。
ただ、抗生剤そのものが悪い薬というわけではありません。必要なときに指示どおり使えば、きちんと働いてくれる薬です。だからこそ、出番ではないときに使わないことが大切です。
私たちが診察で大切にしているのは、「風邪か、細菌による感染症か」を見極めることです。
たとえば、溶連菌(ようれんきん)による咽頭炎や細菌性肺炎など、抗生剤が必要な感染症もあります。加えて、中耳炎や副鼻腔炎では、年齢や症状の強さ、経過によって抗生剤が必要かを判断します。
「熱が何℃あるか」で決まると思われがちですが、私たちは、のどの腫れ方、呼吸の音、熱の経過、画像検査などをあわせて見極めています。
診察は、「本当に風邪かどうか」を見分ける大切な場でもあるのです。
風邪では、3日ほど熱が続くことはよくあります。
ただ、次のようなときは、様子を見ずに受診を考えてください。
✅ 熱が4~5日以上続いている
✅ いったん下がった熱が、また上がってきた
✅ 症状がだんだん悪くなっている
✅ のどの痛みが強く、水分も飲み込めない
✅ 息が苦しそうで、呼吸が速い
✅ ぐったりして、水分がとれない
48時間以上熱が出ないことを「熱が下がった」と判断します。朝は平熱でも、夜になると上がるなら、「熱が続いている」と考えてください。
様子を見て大丈夫なときとの見分け方は、下の図でも確認できます。

なかでも「いったん良くなってからの悪化」は、細菌による二次感染のサインのことがあります。ためらわずご相談くださいね。
抗生剤について、外来でよくいただくご質問にお答えします。
A. 飲まないでください。今回の症状に抗生剤が必要とは限らず、必要な場合でも以前と同じ薬が適しているとは限りません。残った抗生剤を自己判断で使わず、医師や薬剤師に相談してください。
A. 自己判断でやめないでください。症状が消えても、菌が体の中に残っていることがあります。処方された分を、指示どおりに飲みきることが大切です。副作用があるなど、続けてよいか迷う場合は、医師や薬剤師へ相談しましょう。
A. 基本的な考え方は同じで、子どもの風邪も多くはウイルス性です。ただし、年齢が低いほど症状をうまく伝えられず、別の感染症が隠れていることもあります。水分がとれない、ぐったりしている、呼吸が苦しそうなど、普段と違う様子があれば受診してください。
最後に今日のポイントをまとめます。
✅ ウイルスに抗生剤は効かない
✅ 「抗生剤を飲んで翌日治った」は、自然に治る時期と重なった場合のことが多い
✅ 抗生剤が必要かどうかは、診察で見分ける
✅ 処方されたら、指示どおりに最後まで飲みきる
「早く治したい」というお気持ちに応える近道は、今の状態に合った治療を選ぶことです。
当院でも、風邪の診察はもちろん、熱が長引くときのご相談や、お子さんの発熱にも対応しています。私たちも一緒に考えますので、不安なときは遠慮なくご相談くださいね。
それではまた、次のコラムで!
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・【熱が4〜5日続く】子どものアデノウイルス|家庭で見守る3つのポイント
・【口が痛くて水が飲めない】子どもの手足口病|脱水を防ぐ家庭ケア3つ
【参考文献】
抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編(2026)|厚生労働省
薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 2023-2027(2023)|厚生労働省
細菌とウイルス|AMR臨床リファレンスセンター(国立健康危機管理研究機構)(2026年8月閲覧)